建設産業専門団体連合会(才賀清二郎会長)/建設産業専門団体連合会近畿地区連合会(近畿建専連、北浦年一会長)は7月18日午後、大阪市内のホテルで、「第13回近畿地方整備局幹部と建専連会員団体地方支部長との意見交換会」を開きました。
 開会にあたり、才賀清二郎連合会会長は「建専連では保険未加入対策や基幹技能者の活用などに取り組んでいる。ただ、それを実現するにはダンピング受注の根絶が必要である。今後は発注者、ゼネコン、専門工事業者、現場で働く労働者の4者が四位一体となって進まないと建設業界は変わらないと思う。本日は自由討議も予定しており、そこから1つでも取り上げて実施していただきたい」とあいさつ。
 北浦年一会長は「いまは企業の生死にかかわる厳しい局面に差しかかっているが、生きるための勉強をし、勇気を持って実行してほしい。また本日の成果を各組合に持ち帰り浸透させていただきたい」と述べました。
 上総周平近畿地方整備局長は「自然災害に対処し、国を運営していく上で建設業界はなくてはならない。そこに若い人たちが入ってこないのは由々しき状況である。『方策2011』や『方策2012』でもこうした問題を取り上げた。他の産業が普通にできている保険の問題が解決しないと、若い人たちが安心して仕事ができない。このほか様々な議題をいただいているが、本日はそれぞれについて真剣に検討し、実のある会議にしたい」とあいさつしました。
 続いて意見交換会に移り、まず各団体から要望を説明したあと整備局側が回答。そのあと自由討議を行いました。
 各団体からの要望事項とその趣旨は次のとおり。
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【社会保険未加入対策について(全国建設室内工事業協会関西支部)】
保険未加入対策推進協議会の主な取り組みとスケジュールを聞きたい。併せて@高齢者A一人親方B未加入作業員は現場に入れないかC国保加入の作業員D法定福利費は確実に出るか―について検討・配慮をお願いしたい。
【登録基幹技能者の積極的活用・評価について(関西鉄筋工業協同組合)】近畿地方整備局では、総合評価落札方式において基幹技能者と1級技能士を評価対象にした試行的取り組みを行ったが、これを地方自治体にも広げるよう働きかけてほしい。
【ダンピングの起きにくい競争環境整備・施工範囲の明確化について(関西圧接業協同組合)】
元請のダンピング受注は下請である専門工事業者にしわ寄せされている。国交省では調査基準価格の引き上げなどの対策を取られているが、さらにダンピングが起きにくい環境整備の推進をお願いしたい。また元請の現場職員の削減により、元請業務の一部を専門工事業者行うようになっており、これら業務は契約書に明記されておらず、また正当な対価も支払われていない現状にある。下請が正当な対価を得るために、発注にあたって元下の施工範囲を明確化した書類を徴するなど、具体的な対策を講じていただきたい。
【ダンピング対策に関連A〜付帯工事費や追加変更費の不払い〜(全国鐵構工業協会近畿支部)】
元請各社のダンピングにより、専門工事業は非常に低い単価で請け負わされ、厳しい経営環境にある。また、「付帯工事費や追加変更費の不払い」もある。元下の力関係からどこにも訴えることができず、泣き寝入りしている状況にある。
【ダンピング対策B〜業界を活性化させる魅力ある環境創出(日本建設大工工事業協会近畿支部)】
元請による下請への安値発注により、労務単価が極端に減少し、若者の建設業離れが加速している。若者が入職してくる魅力ある環境の創出が必要である。
【ダンピング対策C〜深刻な人材不足への取り組(日本建設大工工事業協会近畿支部)】
技能者の育成には時間がかかるが、型枠業界は深刻な人材不足に陥っている。収入の低さや労働条件の悪さにより、人は集まらない。働く人を大切にするよう、業界全体の意識改革が必要である。
【塗装が主たる公共工事の塗装工事業界への発注奨励について(大阪府塗装工業協同組合)】
塗装工事の発注状況をみると、塗装が主たる工事であるにも関わらず、塗装工事業界以外の業者が「塗装」を取得し入札に参加、落札している。技能や技術、塗装施工力を存続させていくためにも、塗装が主たる工事は塗装工事業界に発注することが大切である。また総合工事業者が塗装を主とした工事を落札した場合、当該総合工事業者から塗装工事業者へ下請発注される。直接発注できる仕組みを検討願いたい。
【専門工事の発注にあたっては、優れた専門工事業の活用を(全国道路標識・標示業協会関西支部)】
入札契約適正化法の施行により、これまで分離発注されていた標識設置工事は、総合評価方式の採用により総合建設業の参加が多くなり、専門工事業の受注機会が大幅に減少している。総合建設業は落札後、専門工事業者に厳しい単価で丸投げし、このような状況が常態化するなかで品質低下が危惧される。
 これらの問題を解決するため、以下の提案をしたい。
 @入札参加要件の中で「土木一式工事」の許可を求められているが、経営事項審査で標識工事は「とび・土工・コンクリート工事」に分類されているとおり、「とび・土工・コンクリート工事」の許可で参加資格をされたい。
 A標識設置工事は、その単独工事の施工実績を重視していただきたい。
 B「維持修繕工事」の希望工事内容が「B」の「舗装以外の道路維持」を第一位に希望していることを重視していただきたい。
 C維持工事の標識工事は、工事希望型競争入札方式を適用していただきたい。
【工事完成保証事業の活用について(近畿マスチック事業協同組合)】
 当組合では、国土交通大臣の認可を得て、「工事完成保証事業」及び「長期性能保証事業」を推進している。
 国土交通省の入札契約においては、工事の履行保証として契約保証金または契約保証金に代わる担保納付の提供を求めておられるが、この契約保証金に代わるものとして、当組合の工事完成保証を当てられないか。
 また、平成21年10月1日から住宅瑕疵担保履行法が施行され、新築住宅の請負人である建設業者等の資力確保措置として「保険への加入」または「保証金の供託」が義務づけられたが、これについても当組合の長期性能保証事業が代替することができないか。中小企業にとって保証金等の負担が大きいので検討をお願いしたい。
【街路樹の維持管理について(日本造園組合連合会)】
@高木剪定などでは、地元対策などの目的で単に緑量を下げる剪定が行われている。街路樹は大きさ、樹形など景観を考えた計画的な剪定を行うよう指導願いたい。
A街路樹整備を行っても、初年度の維持管理が不十分であれば、せっかくの整備が台無しになるところが多い。植樹後1年間の維持管理を含めた発注を検討願いたい。



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