建設産業専門団体近畿地区連合会(近畿建専連、山本正憲会長)と国土交通省近畿地方整備局幹部との令和7年度意見交換会が6月25日午後、KKRホテル大阪で開催されました。
岩田正吾建専連会長、山岡丈人近畿建専連副会長、長谷川朋弘近畿地方整備局長があいさつしたあと意見交換に移り、まず建専連側から全国共通テーマ(要望事項)および近畿地区独自テーマを説明。これに対しそれぞれの事項について近畿地整側から回答しました。各テーマの要旨・発言者は以下の通りです。
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【共通テーマ1 「労務費の基準」の実効性ある活用について】
「労務費の基準」が職種ごとに策定されることとなり、このことを歓迎いたしております。今後は、策定された「労務費の基準」が純粋な労務費として、元請下請間の契約において適正に反映されることが極めて重要です。しかしながら、公共工事の落札の基本が「安値」にあるため、業界側も依然として安値受注から脱却できず基準が現場で形骸化するおそれもあります。ついては、本制度の実効性を確保するため、次の2点よろしくお願いいたします。
(1)「価格競争から質の競争へ」という意識改革の重要性について、関係者へ広く、強く周知・啓発をお願い申し上げます。
(2)建設Gメン等の活動を通じて、民間工事を含むすべての受発注現場において、「労務費の基準」が確実に反映されるよう監視・指導いただくよう強く要望いたします。(関西鉄筋工業協同組合・中川六雄副理事長)
【共通テーマ2 さらなる適正な工期の設定について】
当会が会員団体加盟企業に実施した調査でも、「4週8休以上」を実現している企業は1割程度にとどまり、その主な要因として「適切な工期が確保できないため」との回答が最も多く寄せられています。担い手確保の観点から入職前の担い手に対しては4週8休は必須条件となっており、また時間外労働の上限規制適用などの変化から、効率化を進めてもこれまでどおりの工期設定では施工に無理が生じるため、次の2点をお願いしたい。特に民間工事に対して、これまで以上に工期の余裕が必要となることを啓発願いたい。
(1)労働環境の改善と持続可能な建設業の確立のためには、発注者側の理解促進とともに、国によるさらなる「適正な工期の確保」に向けた支援・制度整備を強く要望いたします。
(2)近年の気候の温暖化に伴い夏季の気温上昇が著しくなっており、このような状況下で技能労働者の労働環境は過酷になってきています。これを受け適正な工期の確保とともに、公共工事において8月を休工にするなどの工期設定を試験的に導入していただきたい。(日本型枠工事業協会・渡辺睦翁近畿支部長)
【共通テーマ3 CCUSカードリーダー設置の促進について】
建専連はCCUSのレベル別最低年収の実現や、本年秋の大規模なシステム改修でCCUSとの連携の強化が予定される建退共への着実な課金システムとしてCCUSの本格稼働に大きく期待をしています。特に財政基盤の弱い個人や零細企業では職人の離職後の福利として建退協は有意義な制度と考えておりますので地方公共団体発注は100%をはじめ官民全現場へのカードリーダー設置を義務として進めていただきたい。(近畿建設躯体工業協同組合・中野岳之副理事長)
【近畿地区独自テーマ1 日本人若年者の入職促進策について】
各産業における外国人就労者の比率が増大することによる社会問題が今後急増する懸念を感じる次第です。現に昨今、外国人による事件・事故が目に付きます。また、国際安全保障の不安定さにより外国人就労者はいつ何時母国に帰るか分かりません。外国人が帰国することで必要就労者数に大きな穴が開くことになり、その結果、基幹産業である建設産業が機能しなくなり、日本経済の破綻につながる可能性すらあります。昨今では、ベトナム、韓国などの労働待遇が改善され、日本での就労にメリットが無くなってきている現状もあります。
やはり、国の施策として日本人の労働力を確保することが最優先事項であり、目先の小手先の外国人受入れではなく、働き方改革を凌駕した危機感をもった、国としての抜本的な考え方・方針が必要なことは火を見るより明らかです。日本人若者が労働者として入職できるよう、日本国の将来を守る抜本的な方針をお聞かせ願いたい。(近畿建設躯体工業協同組合・山岡丈人理事長)
【近畿地区独自テーマ2 現場入場時の外国人労働者の割合について】
元請け業者からは、日本人1名に対して2名以上の外国人は認められないというケースがあります。これだけ外国人に頼っている現状で、場合によっては外国人を多く配置しなければいけないケースがあり、そもそも人手不足が顕著な今、人員手配がより困難となっております。なおかつ、日本人と同等の処遇や権利が認められている以上、外国人というくくりで制限することがないようにしなければならないと考えます。
上記の制限において、外国人による事故が増加していることが背景にあると認識していますが、教育や指導方法により改善していくべきであり、人数による制限がなされないよう指導していただきたい。(関西鉄筋工業協同組合・中川六雄副理事長)
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